建物の管理者・オーナーの方へ
煙・熱感知器と防火シャッターの連動のしくみ
感知器・連動制御器・自動閉鎖装置のつながり、感知器の種類と位置、点検・検査で見られること

防火シャッターは、火災のときに自動で閉まる設備です。では、何が火災を見つけ、どうやってシャッターに「閉まれ」と伝えているのでしょうか。管理を担当していても、しくみまで意識する機会は多くないかもしれません。
防火シャッターは、シャッター本体だけでなく、感知器や制御の装置とつながって一つの設備として働きます。 どれか一つが正しく働かなければ、火災のときに閉まらなかったり、火災でないときに閉まったりします。
この記事では、建物の管理担当者やオーナーの方に向けて、感知器と防火シャッターの連動のしくみ、感知器の種類と位置の基準、点検・検査で確認されることをまとめます。
自動で閉まるまでの流れ
日本シヤッター・ドア協会の資料では、防火シャッターの主な構成として、感知器、連動制御器、自動閉鎖装置、シャッターカーテン、ガイドレール、障害物感知装置、手動閉鎖装置などが挙げられています。

| 順番 | 装置 | 役割 |
|---|---|---|
| ① | 感知器 | 煙や熱を感知して信号を出す |
| ② | 連動制御器 | 感知器の信号を受け、自動閉鎖装置に起動の指示を出す |
| ③ | 自動閉鎖装置 | 指示を受けてシャッターを降ろす |
| ④ | シャッター | 自重で降下し、区画を閉じる |
国土交通省に提出された業界団体の資料でも、感知器が熱や煙を感知して信号を出し、連動制御器から自動閉鎖装置へ起動信号を送って自動的に閉鎖させるしくみが説明されています。同じ資料では、電気で制御するため、停電のときにも働くよう連動制御器にバッテリーが内蔵されているとも説明されています。
温度ヒューズ式のしくみ
同じ資料では、もう一つの方式として温度ヒューズ式も紹介されています。火災の熱で温度ヒューズが溶けると開閉機のブレーキが働き、シャッターが降下する機械的なしくみです。どちらの方式かは、設計図書や定期検査の報告書で確かめられることがあります。
感知器の種類と使い分け
防火シャッターと連動する感知器には、煙を感知するもの、熱を感知するもの、両方を感知する熱煙複合式のものがあります。
| 種類 | 感知するもの | 基準上の位置づけ |
|---|---|---|
| 煙感知器 | 火災で発生した煙 | 煙が発生した場合に自動で閉まる防火設備に使う |
| 熱感知器 | 急激な温度の上昇 | 温度が急激に上昇した場合に自動で閉まる防火設備に使う |
| 熱煙複合式感知器 | 煙と熱 | どちらの方式にも使える |
| 温度ヒューズ | 熱でヒューズが溶ける | 温度の上昇で閉まる方式の一つ |
施行令では、防火設備は、火災で煙が発生した場合か、温度が急激に上昇した場合のいずれかに、自動的に閉まるものとされています。告示では、煙で閉まるものと熱で閉まるものに分けて構造の方法が定められています。煙で閉まるものは、煙感知器または熱煙複合式感知器、連動制御器、自動閉鎖装置、予備電源を備えることとされています。
遮煙性能が求められる防火設備
施行令では、遮煙性能が求められる防火設備について、常に閉まっている状態のもの以外は、煙が発生した場合に自動的に閉まるものとしています。つまり、煙を止める役割のある防火シャッターは、煙を感知して閉まる必要があるということです。どの防火設備が煙で閉まる方式なのかも、あわせて確かめておきましょう。
自動火災報知設備と兼用している場合
東京都の防火設備定期検査報告のQ&Aでは、感知器には自動火災報知設備と防火設備で兼用しているものがあるため、消防点検と連携して検査することも可能としています。感知器が兼用かどうかで、点検の段取りや相談先が変わることがあります。
感知器の位置にも基準がある
感知器は、天井のどこに付けてもよいわけではありません。告示では、煙感知器などの位置について考え方が示されています。

| 考え方 | 内容 |
|---|---|
| 防火設備からの距離 | 防火設備からの水平距離が10メートル以内 |
| 間にあるもの | 防火設備と感知器の間に間仕切壁などがない場所 |
| 壁からの距離 | 壁から60センチメートル以上離れた天井などの室内に面する部分 |
あわせて、換気口などの近く、ほこりがたまりやすい場所、腐食性のガスが出る場所、厨房などで煙がいつも滞留する場所、排気ガスが多い場所、結露が発生する場所などには設けないこととされています。
改装やレイアウト変更で影響することも
この基準は、防火シャッターと感知器の間に間仕切壁などがないことを前提にしています。そのため、間仕切りを新しく設ける、天井を張り替える、厨房や換気設備を移すといった改装では、感知器の位置や働き方に影響することがあります。改装の計画が決まったら、工事の前に専門業者や管理会社に相談しておくと安心です。
連動制御器と予備電源の役割
連動制御器は、感知器と自動閉鎖装置の間に入る、いわば司令塔です。告示では、煙感知器などから信号を受けたときに自動閉鎖装置に起動の指示を与えるもので、随時、制御の監視ができるものとされています。火災の熱で機能に支障をきたすおそれがなく、維持管理が容易に行えることも求められています。
連動制御器には表示灯があり、状態を確認できます。日本シヤッター・ドア協会のメンテナンスガイドでは、日常の確認として、連動制御器の各種表示灯に異常がないかを見ることを挙げています。
停電のときにも働くための予備電源もあり、同協会のメンテナンスガイドでは定期的な検査と交換が必要としています。
誤作動につながりやすい条件
感知器は、置かれた環境の影響を受けます。業界団体が国土交通省に示した資料には、湿気を吸ったゴミが感知器の中にたまっていた例や、取付けが緩んで傾いていた例が、誤作動の原因として載っています。告示が感知器を設けない場所として挙げる、ほこりのたまりやすい場所や結露する場所と共通する条件です。同じ場所で誤作動が続くときは、感知器だけでなく、周りの環境がどう変わったかにも目を向けましょう。
手動閉鎖装置
感知器とは別に、人が操作してシャッターを閉める手動閉鎖装置もあります。国の告示の検査項目では、速やかに作動させられる位置にあるか、周りに障害物があって操作できない状態になっていないかなどが確認されます。周りに物を置いていないか、日頃から見ておきましょう。
点検・検査で確認されること
連動の装置も、法定の定期検査で確かめられる対象です。建築基準法第12条の定期報告の対象となる建物では、どの建物がいつ報告するかを所在地の特定行政庁が定めています。国の告示の検査項目のうち、連動の装置にかかわるものは次のとおりです。
| 対象 | 主な確認内容(不具合とされる状態) |
|---|---|
| 感知器の設置位置 | 告示の位置の基準に合っていない |
| 感知の状況 | 適正な時間内に感知しない |
| 温度ヒューズ装置 | 針金などで固定されている、変形・損傷・著しい腐食、油脂やほこり・塗料の付着 |
| 連動制御器 | スイッチ類の破損、表示灯が点灯しない、結線の断線・端子の緩み、接地線の不備 |
| 連動機構用予備電源 | 変形・損傷・著しい腐食、容量の不足 |
| 総合的な作動 | 正常に閉まらない、表示灯が点灯しない、音響装置が鳴らない |
報告書で感知器や連動制御器について指摘を受けたときは、どの防火シャッターにつながる、どの装置についての指摘かを図面で確かめておきましょう。修理の範囲や、立ち入りが必要な場所を整理しやすくなります。
【やってはいけないこと】
- 誤作動を防ぎたいからと、感知器にカバーをかける、取り外す
- 感知器を試しに反応させて、動作を確かめる
- 温度ヒューズを針金などで固定する
- 連動制御器のスイッチを、手順が分からないまま操作する
- 改装で、感知器と防火シャッターの間に間仕切りや棚を設ける計画を、相談せずに進める
費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること
連動の装置の点検や修理は、方式や装置の状態によって内容が変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| 方式 | 感知器連動式か、温度ヒューズ式か |
| 装置の範囲 | 感知器、連動制御器、自動閉鎖装置、予備電源のどれが対象か |
| 兼用の有無 | 自動火災報知設備と感知器を兼用しているか |
| 台数と配置 | 防火シャッターと感知器の台数、設置されている階や位置 |
| 不具合の状態 | 部品の交換で済むか、装置の交換が必要か |
| 作業の条件 | 作業できる日時、通行止めの範囲、入館の手続き |
※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。別途、基本料金や作業の時間帯による料金がかかる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。
相談の際は、設置場所と台数、連動制御器の表示灯の様子、検査の報告書の控えや指摘の内容、改装の予定を分かる範囲でお知らせください。見積もりの見方は、次の記事も参考になります。
日本シャッターサービスセンターの対応
日本シャッターサービスセンターでは、感知器や連動制御器を含めた防火シャッターの保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換のご相談を承ります。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。

防火シャッター本体だけでなく、連動する感知器、連動制御器、自動閉鎖装置、予備電源の状態を確認してから、修理や部品交換の内容をご案内します。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。
法人のお客様の窓口
管理会社・建物オーナー、店舗、工場・倉庫、建設会社・内装業者の方からのご相談を承ります。改装の計画や稼働の予定を伺い、作業できる日時と範囲を整理してからお見積もりします。複数台・複数の物件をまとめてのご相談も承ります。
日頃の管理で気をつけること
連動の装置は、普段は目立たないぶん、変化に気づきにくい設備です。次の点を見ておきましょう。

表示灯と感知器のまわりを見る
連動制御器の表示灯が普段と違う、感知器に覆いがかかっている、近くに新しく換気設備が付いた、といった変化に気づいたら記録しておきましょう。清掃や内装工事のときに感知器が覆われたままになっていないかも確認しておくと安心です。
改装の前に相談する
間仕切り、天井、厨房、換気設備の変更は、感知器の位置の基準に関わることがあります。工事の内容が決まる前に相談しておくと、手戻りを防ぎやすくなります。
まとめ
防火シャッターは、感知器が煙や熱を感知し、連動制御器が指示を出し、自動閉鎖装置がシャッターを降ろすことで閉まります。停電のときに備えて予備電源があり、温度ヒューズで閉まる方式もあります。感知器には種類があり、遮煙性能が求められるものは煙で閉まる必要があります。位置にも基準があるため、改装で影響することがあります。
対象の範囲や検査の時期は特定行政庁によって異なります。シャッター本体だけでなく、連動の装置も含めた一つの設備として、点検・検査と日頃の確認を続けましょう。
防火シャッターの点検・検査・修理・部品交換は「防火シャッター」、改装の計画や複数の物件をまとめたご相談は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 感知器 | 煙や熱を感知して信号を出す装置。 |
| 煙感知器 | 火災で発生した煙を感知する感知器。 |
| 熱感知器 | 急激な温度の上昇を感知する感知器。 |
| 熱煙複合式感知器 | 煙と熱の両方を感知する感知器。 |
| 連動制御器 | 感知器の信号を受け、自動閉鎖装置に起動の指示を出す装置。 |
| 自動閉鎖装置 | 連動制御器の指示を受けて防火シャッターを降ろす装置。 |
| 予備電源 | 停電のときにも装置が働くようにするためのバッテリー。 |
| 温度ヒューズ | 熱で溶けることで防火シャッターを降ろすしくみに使われる部品。 |
| 手動閉鎖装置 | 人が操作して防火シャッターを閉めるための装置。 |
| 自動火災報知設備 | 火災を感知して建物内に知らせる消防用の設備。 |
| 遮煙性能 | 煙が漏れるのを抑える性能。 |