建物の管理者・オーナーの方へ

防火シャッターの保守点検と法定の定期検査の違い

管理担当者・オーナーが確認したい、制度の違い、対象の調べ方、不具合が見つかったときの対応

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター更新日:
商業ビルの通路の天井に収まった防火シャッターのイメージ
イメージ画像(AI生成)

建物の管理を任されると、防火シャッターについて「点検は業者に頼んでいるから大丈夫」と考えがちです。ところが、行政から定期報告の案内が届いたり、テナントの入れ替えで書類を確認したりしたときに、「点検」と「定期検査」が別のものだと気づく方は少なくありません。

「点検を受けている」ことと「法定の定期検査・報告を済ませている」ことは、同じではありません。 防火シャッターには、不具合を早く見つけるための保守点検と、法令に基づく定期検査・報告があります。目的も、実施する人も、結果をどう扱うかも異なります。

この記事では、建物の管理担当者やオーナーの方に向けて、2つの違いと、ご自身の建物が対象かどうかを確認する方法、点検や検査で不具合が見つかったときの進め方をまとめます。

防火シャッターの役割と、点検が必要な理由

防火シャッターは、火災のときに閉まり、炎や煙が広がるのを抑えるための設備です。普段は開けたまま使い、煙や熱を感知して自動で閉まる仕組みのものもあります。

店舗の入口や倉庫の出入口に付いている一般のシャッターは、毎日の開け閉めの中で「重い」「音がする」といった変化に気づくことができます。一方、防火シャッターは火災のときにしか閉まらないため、日常の使用では動作を確かめにくいのが特徴です。いざというときに正しく閉まるかどうかは、普段の様子を見ているだけでは分かりません。

そのため、定期的に状態を確認しておくことが大切です。確認の方法には、次に説明する「保守点検」と「法定の定期検査・報告」の2つがあります。

保守点検と法定の定期検査・報告の違い

2つは名前が似ていますが、別の制度です。まず全体の違いを整理します。

保守点検と法定の定期検査・報告の違いを、目的・依頼と実施・行政への報告の3項目で比べた図
項目 保守点検 法定の定期検査・報告
目的 不具合の早期発見と予防 法令に基づく安全性の確認
依頼・実施 所有者・管理者が任意で依頼する 防火設備検査員などの資格者が検査する
行政への報告 報告の義務はない 所有者・管理者が特定行政庁へ報告する
内容・時期 依頼先との取り決めによる 対象の範囲や報告の時期は特定行政庁によって異なる

保守点検とは

保守点検は、所有者や管理者が依頼して行う点検です。動作や部品の状態を確認し、不具合を早めに見つけることを目的とします。

点検の内容や頻度は、依頼先との取り決めによって異なります。結果を行政へ報告する義務はありません。いわば、建物を管理する側が自主的に行う健康診断のようなものです。

法定の定期検査・報告とは

建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、対象となる建物の防火設備について、防火設備検査員などの資格者が検査を行います。その結果を、建物の所有者・管理者が特定行政庁へ報告します。

対象となるのは、不特定多数の人が利用する建物や、高齢者などが就寝に利用する施設などのうち、行政が定めるものです。報告の時期や対象の範囲は、特定行政庁によって異なります。同じ用途の建物でも、所在地によって扱いが変わることがあるため、一律に「この建物は対象」「この建物は対象外」とは言えません。

点検を受けていれば、定期検査は不要?

保守点検と法定の定期検査は別の制度です。対象の建物では、資格者による定期検査と報告が必要です。これまで受けてきた点検が定期検査を兼ねていたかどうかは、点検を実施した会社に確認してください。報告書の控えがあれば、あわせて確認すると分かりやすくなります。

なお、2つはどちらか一方を選ぶものではありません。対象の建物では定期検査と報告を行ったうえで、保守点検で日頃の状態を確かめておくと、次の検査を待たずに不具合に気づきやすくなります。対象外の建物でも、火災のときに働く設備であることは変わりません。保守点検の内容や頻度を、依頼先と相談して決めておくと安心です。

自分の建物が対象かを確認する方法

対象かどうかは、建物の用途や規模、所在地によって異なります。次の順番で確認していくと、状況を整理しやすくなります。

防火シャッターが法定の検査の対象か確認する4つの手順
手順 確認すること ポイント
① 報告書の控え 過去に定期検査を行った記録があるか 以前に検査をしていれば、控えが保管されていることがある
② 管理会社・前の管理者 これまでの点検・検査の実施状況 管理を引き継いだ建物では特に確認しておく
③ 特定行政庁の窓口 対象の建物かどうか、報告の時期 建物がある市区町村などで確認できる。行政から案内が届く場合もある
④ 防火シャッターかどうか 本体や周辺の表示、建物の図面 分からない場合は現地で一緒に確認できる

防火シャッターかどうか分からないとき

そもそも設置されているシャッターが防火シャッターかどうか分からない、というご相談もあります。本体や周辺の表示、建物の図面、管理会社への確認で分かることがあります。それでも分からない場合は、現地で一緒に確認します。

管理を引き継いだときは

管理会社の変更や、建物の売買で管理を引き継いだ場合、前の管理者が残した書類の中に、点検の記録や報告書の控えが含まれていることがあります。どの書類がどこにあるかを最初に確認しておくと、行政から案内が届いたときや、テナントから問い合わせを受けたときに慌てずに済みます。

点検や検査で不具合が見つかったら

閉まり方がおかしい、途中で止まる、異音がするなどの不具合を指摘された場合は、放置せずに修理を検討しましょう。防火シャッターは、火災のときに働くことが前提の設備です。普段は困らないからといって先送りにすると、必要なときに役目を果たせないおそれがあります。

検査で是正が必要と指摘された場合は、指摘された内容が分かる書類をご用意ください。書類があると、対象の製品と状態の確認がスムーズです。現地で製品と状態を確認したうえで、修理や交換の内容をご案内します。

指摘の書類が手元にない場合は、どの場所の、何台目のシャッターについて、どのような指摘があったかをメモしておくだけでも役立ちます。

【やってはいけないこと】

  • 動作を確かめるために、防火シャッターを手動で閉鎖させる(降りてくるシャッターの下に入ると危険)
  • 感知器を自分で操作する、試しに反応させる(意図しない作動につながる)
  • シャッターの閉まる位置に、荷物や台車、看板などを置く(いざというときに閉まりきらない原因になる)
  • 指摘を受けた不具合を、次の点検まで様子見で済ませる

費用が変わる要素と、見積もりの前に伝えること

防火シャッターの点検・検査・修理は、建物や製品の条件によって内容が大きく変わるため、ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
作業の種類 保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換、新設・交換のどれか
台数と設置場所 建物内の台数、設置されている階や位置
製品と大きさ メーカー、手動・電動の種類、おおよその寸法
関連する装置 連動する感知器などの装置の確認が必要か
不具合の状態 部品の交換で済むか、本体の交換が必要か
作業の条件 作業できる曜日・時間帯、入館の手続き、車両の駐車場所

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。別途、基本料金や当日対応・夜間対応の料金がかかる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

相談の前にそろえておきたいこと

次のような情報があると、現地確認や見積もりの準備がスムーズです。分かる範囲でかまいません。

  • 建物の用途と所在地
  • 設置場所と台数、おおよその寸法
  • 製品のラベルやメーカー名、手動・電動の種類
  • 不具合の状態、検査で指摘された内容
  • 設計図書・仕様書の有無
  • 見積書の宛先と、承認の窓口

管理物件で、管理組合やオーナーの承認が必要な場合は、その手続きもあわせて確認しておきましょう。進め方は「管理物件のシャッター工事で確認すること」でも解説しています。

日本シャッターサービスセンターでできること

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検、修理・部品交換、新設・交換のご相談を承ります。法定の定期検査にも対応しています。定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。

建物の開口部の上に収まった防火シャッターのケースとガイドレールのイメージ
イメージ画像(AI生成)

防火シャッターは、普段のシャッターとは確認する点が異なります。製品の表示、連動する感知器などの装置、設置場所を確認してから、工事の内容をご案内します。対象の建物かどうか、報告の進め方は、建物の状況を伺ってからご案内します。

当社の施工には5年間の保証が付きます。

法人のお客様の窓口

管理会社・建物オーナー、店舗、工場・倉庫、建設会社・内装業者の方からのご相談を承ります。建物の用途や稼働の予定を伺い、工事できる日時と範囲を整理してからお見積もりします。現地調査では、管理者様との立会いや入館の手続きも調整します。複数台・複数の物件をまとめてのご相談も、台数と所在地をお知らせいただければ、現地確認の進め方をご案内します。

日頃の管理で気をつけること

防火シャッターは、日頃の管理の積み重ねで、いざというときに働く状態を保ちやすくなります。

管理担当者の日頃のチェックリスト4項目

閉まる位置に物を置かない

シャッターが降りてくる位置に、荷物や台車、商品棚、看板などが置かれていないかを確認しましょう。テナントや従業員が入れ替わると、置いてはいけない場所だと知らずに物を置いてしまうことがあります。床に印を付けるなど、建物ごとに分かりやすい工夫をしておくと安心です。

記録と書類をまとめて保管する

保守点検の記録、定期検査の報告書の控え、指摘を受けた内容と修理の記録は、まとめて保管しておきましょう。次の点検や検査、修理の相談のときに、状態の変化を確認しやすくなります。

気になることは早めに相談する

異音がする、動きがおかしいと指摘を受けた、といった場合は、次の点検を待たずに相談してください。新設や交換を検討する場合は「シャッター新設の前に確認すること」も参考になります。

まとめ

防火シャッターには、所有者・管理者が任意で依頼する保守点検と、建築基準法第12条に基づく法定の定期検査・報告があります。保守点検は不具合の早期発見が目的で、行政への報告義務はありません。法定の定期検査は、対象の建物について資格者が検査し、所有者・管理者が特定行政庁へ報告する制度です。

対象かどうかや報告の時期は、建物の用途や規模、所在地によって異なります。まずは報告書の控えや管理会社への確認、特定行政庁の窓口で状況を整理しましょう。不具合を指摘された場合は、ご自身で作動させず、指摘の書類をそろえて相談するのが確実です。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
防火シャッター 火災のときに閉まり、炎や煙が広がるのを抑えるためのシャッター。普段は開けたまま使う。
保守点検 所有者・管理者が任意で依頼する点検。動作や部品の状態を確認し、不具合を早めに見つける。
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の状態を検査し、行政へ報告する制度。
防火設備 防火シャッターなど、火災の広がりを抑えるための設備。
防火設備検査員 防火設備の定期検査を行う資格者の一つ。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
感知器 煙や熱を感知する装置。防火シャッターと連動して自動で閉める仕組みのものがある。
是正 検査で指摘された不具合や不備を直すこと。
設計図書 建物の図面や仕様書など、設計の内容をまとめた書類。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

防火シャッターのご相談

点検・検査・修理のご相談は、
建物の状況とあわせてお知らせください。

東京・神奈川・千葉・埼玉での防火シャッターのご相談を承ります。建物の用途と所在地、設置場所と台数を分かる範囲でお知らせください。

検査で指摘された内容、メーカー名、手動・電動の種類などが分かれば、あわせてお知らせください。

お問い合わせフォームへ電話で相談する 0120-168-220LINEで写真を送って相談する