建物の管理者・オーナーの方へ

防火設備の定期検査で指摘(要是正)を受けたときの対応

報告書の読み方、指摘の仕分けと優先順位、社内・テナントとの調整、改善の報告まで

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
建物の管理事務室の机に、報告書のファイルと建物の図面が整えて置かれている様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

防火設備の定期検査が終わり、報告書を受け取ってみると、いくつかの項目に指摘が書かれていた。そうした場面で、何から手をつければよいか迷う管理担当者の方は少なくありません。

指摘は、どの防火設備の、どこに、どんな問題があるかを教えてくれる手がかりです。 内容を読み解いて種類ごとに仕分ければ、すぐに直せるもの、部品の手配が必要なもの、時間をかけて計画するものが見えてきます。

この記事では、防火シャッターを中心に、定期検査で指摘を受けたときの報告書の読み方、指摘の仕分けと優先順位、社内やテナントとの調整、改善の報告までの進め方をまとめます。

指摘はどこに、どう書かれるか

指摘が書かれる報告書は、建築基準法第12条の定期報告制度にもとづくものです。対象となる建物の防火設備を資格者が検査し、その結果を所有者・管理者が特定行政庁へ報告します。どの建物が対象か、いつ・どの様式で報告するかは、特定行政庁ごとに決められています。

検査の結果は、国の告示で定められた項目ごとに、検査結果表へ記載されます。防火シャッターであれば、設置場所の周りの状況、カーテン部やガイドレール、危害防止装置、感知器や連動制御器、予備電源、総合的な作動などが項目になっています。

判定の区分

東京都の防火設備定期検査報告のQ&Aでは、判定として「指摘なし」「要是正」「既存不適格」という区分が使われています。要是正は直す必要があるもの、既存不適格は設置した当時の基準には合っていたが、現在の基準には合わない状態を指します。どちらにあたるかで対応の考え方が変わるため、判定の意味は検査者に確認しましょう。

特記事項も見落とさない

判定とは別に、特記事項欄に注意点が書かれることがあります。東京都のQ&Aでは、予備電源の容量が足りていれば交換時期を過ぎていても原則として指摘なしとしつつ、特記事項欄に記載して交換を促すこともできるとしています。また、正常に閉まるものの通常の操作では復旧させにくい防火シャッターも、閉鎖に問題がなければ指摘なしとし、特記事項欄などで修理を要することを注意喚起するとしています。指摘がない項目でも、特記事項は対応の候補として扱いましょう。

検査の日に聞いておきたいこと

検査に立ち会える場合は、その場で指摘の箇所を見せてもらうと、報告書の文章だけでは分かりにくい内容も理解しやすくなります。どのシャッターの、どの部分か、急いで直すべきものはどれかを聞き、メモしておきましょう。報告書が届いたときに、聞いた内容と照らし合わせられます。

指摘を種類ごとに仕分ける

報告書の指摘は、内容によって対応の仕方が大きく違います。国の告示の検査項目をもとに、次の5つに分けて考えると整理しやすくなります。

指摘の種類と主な対応
種類 指摘の例(告示の検査項目より) 主な対応
置き方・使い方 物品の放置で閉鎖に支障がある、手動閉鎖装置の周りに障害物があり操作できない 管理側で物を移し、置かない運用にする
連動の装置の部品 感知器が適正な時間内に感知しない、温度ヒューズの固定や汚れ、表示灯が点灯しない、予備電源の容量不足 部品の点検・交換
シャッター本体 スラットや座板の変形・損傷・腐食、ガイドレールの変形、遮煙材の損傷や脱落、ケースの外れ 修理または交換
危害防止装置 座板感知部の損傷、停止距離が長い、再降下しない、運動エネルギーが大きい 調整・修理、装置の後付けの検討
性能・認定 遮煙性能が求められる場所で性能がない、大臣認定の取消しや失効 設計者・検査者と相談

性能や認定にかかわる指摘

東京都のQ&Aでは、竪穴区画に設ける防火設備など、遮煙性能が求められる防火設備で遮煙性能がない場合は、検査報告の中で指摘するとしています。また、国土交通大臣の認定を受けた防火設備で、認定が失効した場合は既存不適格、取り消された場合は要是正とするとしています。こうした指摘は部品の交換だけでは済まないことがあり、設備の選び直しを含めた検討が必要です。

危害防止装置にかかわる指摘

危害防止装置は、閉まる途中の防火シャッターが人などに触れると止まる装置です。東京都のQ&Aでは、装置の設置が求められるようになる前に設けられ、装置が付いていない防火シャッターでも、告示に基づいて運動エネルギーを確認するとしています。一方で、義務化の後に増築した建物で装置がない場合は、既存不適格とならず要是正になるとしています。同じ「装置がない」状態でも、建物の経緯によって判定が変わるということです。

対応の進め方と優先順位

仕分けができたら、次の流れで進めます。

指摘を受けてから記録までの流れ
段階 すること ポイント
① 読む 指摘と特記事項を、設備ごとに一覧にする 図面に位置を書き込むと分かりやすい
② 確認 検査者に指摘の意味と程度を聞く 判定の区分と、急ぐべきものを確かめる
③ すぐ直す 物品の放置などは管理側で改善する 改善した日と方法を記録する
④ 見積もり 部品・本体・装置の修理を現地で確認してもらう 複数台はまとめて見てもらう
⑤ 調整 予算の承認、テナントやオーナーとの日程調整 工事中の通行止めの範囲も決める
⑥ 工事 是正工事を行い、作動を確かめる 作業の内容と完了日を書面で受け取る
⑦ 報告・記録 特定行政庁の様式で改善を報告し、記録を保管する 様式と提出先は特定行政庁で異なる

優先順位の考え方

防火シャッターは、火災のときに閉まることが前提の設備です。閉鎖そのものに関わる指摘、たとえば正常に閉まらない、感知しない、閉まる位置に物があるといった内容は、先送りにしないことが大切です。物品の移動のように費用をかけずに直せるものは、早めに対応しておくと、次の段取りに集中できます。

社内の承認を得るときにそろえるもの

是正工事に予算の承認が必要な場合は、報告書の該当する部分、指摘の箇所の写真、見積書、工事の日程案、改善の報告の要否をまとめておくと、説明がしやすくなります。指摘が複数の建物にまたがる場合は、建物ごとに一覧にしておくと、優先順位をつけて予算を分ける検討もしやすくなります。

修理か交換かで迷う場合は、次の記事も参考になります。

【やってはいけないこと】

  • 指摘を、次の検査まで様子見で済ませる
  • 物品の放置の指摘を受けて、検査の日だけ物を動かす
  • 感知器や温度ヒューズの指摘を、覆いや固定でしのぐ
  • 判定の意味を確かめないまま、工事の内容を決める
  • テナントの区画にある防火設備を、テナントに伝えずに工事の予定に入れる

改善の報告

是正した後は、特定行政庁に改善の状況を報告する手続きが用意されていることがあります。

東京都では、指摘を受けた場合に、防火設備について改善計画書と改善完了報告書の様式が用意されています。提出先は建物の所在地や規模によって、都や区役所、市役所などに分かれます。船橋市でも、改善が必要な場合は改善計画書を、工事が完了したときは改善完了報告書を提出するとされています。

報告の要否、様式、提出先、時期は特定行政庁によって異なります。報告書を受け取ったら、建物のある特定行政庁の案内を確認するか、検査者に確認しておきましょう。

テナントが所有・管理する防火設備

東京都のQ&Aでは、テナントが設置して所有・管理する防火設備も報告の対象になるとしています。指摘がテナントの区画にある場合は、誰が工事を手配し、費用をどう分けるかを、契約や建物のルールに沿って早めに話し合いましょう。管理物件での進め方は、次の記事でも解説しています。

費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること

是正工事は、指摘の種類と台数、製品の状態によって内容が大きく変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
指摘の種類 部品の交換で済むか、本体の修理・交換や装置の後付けが必要か
台数と場所 指摘のあった台数、設置されている階や位置
製品の状態 部品の手配ができるか、本体の劣化の程度
連動の装置 感知器、連動制御器、予備電源などの交換の有無
作業の条件 作業できる日時、通行止めの範囲、入館の手続き
報告の準備 改善の報告に添える書類や写真の準備

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。別途、基本料金や作業の時間帯による料金がかかる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

日本シャッターサービスセンターの対応

日本シャッターサービスセンターでは、定期検査の指摘を受けた防火シャッターの是正工事、修理・部品交換、本体の交換のご相談を承ります。保守点検と法定の定期検査にも対応しています。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。

防火シャッターのガイドレールと、開いた通路の床まわりのイメージ
イメージ画像(AI生成)

報告書の指摘の内容を伺い、現地で製品と状態を確認したうえで、修理や交換の内容をご案内します。指摘の書類があると、確認がスムーズです。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。

管理会社・建物オーナー、店舗、工場・倉庫の方からのご相談を承ります。複数台・複数の物件の指摘をまとめてのご相談も、台数と所在地をお知らせいただければ、現地確認の進め方をご案内します。

次の検査に向けて整えておくこと

指摘への対応が終わったら、次の検査に向けた準備も始めておきましょう。

次の検査に向けて整えておくこと

指摘と対応の一覧をつくる

どの防火設備に、いつ、どんな指摘があり、どう対応したかを一覧にしておくと、次の検査で前回の指摘が直っているかを確かめやすくなります。担当者が替わったときの引き継ぎにも役立ちます。

特記事項を予定に入れる

予備電源の交換時期など、特記事項に書かれた内容は、次の検査を待たずに対応の予定を立てておきましょう。

日頃の確認を続ける

物品の放置は、一度直しても繰り返しやすい指摘です。閉まる位置や手動閉鎖装置の周りに物がないか、日頃から確認しておきましょう。保守点検で状態を確かめておくと、検査の前に不具合に気づきやすくなります。

まとめ

定期検査の指摘は、検査結果表の項目ごとの判定と、特記事項に書かれます。判定の区分や意味は検査者に確認し、置き方・使い方、連動の装置の部品、本体、危害防止装置、性能・認定の種類ごとに仕分けると、対応の順番が見えてきます。閉鎖に関わる指摘は先送りにせず、すぐ直せるものから手をつけましょう。

是正の後に改善の報告が必要かどうか、様式や提出先は特定行政庁によって異なります。テナントが管理する防火設備も含め、関係者と調整しながら進め、指摘と対応の記録を次の検査に生かしましょう。

防火シャッターの是正工事・点検・検査は「防火シャッター」、複数台や複数の物件の指摘をまとめたご相談は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の防火設備などを検査し、行政へ報告する制度。
検査結果表 検査の項目ごとに結果を記載する書類。
要是正 検査で直す必要があると判定された状態。
既存不適格 設置した当時の基準には合っていたが、現在の基準には合わない状態。
特記事項 検査の報告書で、判定とは別に注意点などを書く欄。
是正 検査で指摘された不具合や不備を直すこと。
改善計画書・改善完了報告書 指摘への改善の予定や完了を特定行政庁に報告するための書類。名称や様式は特定行政庁によって異なる。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
遮煙材 シャッターのまぐさやガイドレールに付き、煙の漏れを抑える部材。
危害防止装置 閉まる途中の防火シャッターが人などに触れると止まる装置。
大臣認定 国土交通大臣が性能を認めた構造や製品であることを示す認定。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

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