建物の管理者・オーナーの方へ
防火設備の定期検査・報告の流れ|管理担当者が準備すること
報告時期の確かめ方、依頼から報告までの流れ、検査の前にそろえる書類、指摘を受けたときの是正まで

行政から防火設備の定期報告の案内が届いた。担当を引き継いだら、前任者から「防火シャッターの報告は毎年ある」と聞いた。そんなときに、何から手を付ければよいか迷う方は少なくありません。
防火設備の定期検査・報告は、検査を頼めば終わりではありません。報告時期を確かめ、早めに検査を依頼し、書類と現場を準備する。 指摘があれば是正まで進める。この流れを知っておくと、毎年の手続きを落ち着いて進められます。
この記事では、建物の管理担当者に向けて、防火設備の定期検査・報告の流れと、準備しておきたいことをまとめます。保守点検と法定の定期検査の違いについては、別の記事で解説しています。
防火設備の定期検査・報告のしくみ
防火設備の定期検査・報告は、建築基準法第12条第3項に基づく制度です。対象となる建物の所有者・管理者が、資格者に防火設備を検査させ、その結果を特定行政庁に報告します。

| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 報告する人 | 建物の所有者・管理者 |
| 検査する人 | 一級建築士、二級建築士、防火設備検査員 |
| 報告先 | 特定行政庁(受付機関を通す場合がある) |
| 主な対象 | 防火シャッター・防火戸など、随時閉鎖・作動する防火設備 |
ほかの点検・調査とは別の制度
東京都のQ&Aでは、防火設備の定期検査報告は建築基準法に基づく制度で、消防法に基づく点検とは異なるものとされています。また、建物そのものの定期調査(特定建築物定期調査)とは対象が異なるため、両方の報告が必要な場合があるとされています。「消防の点検を受けているから大丈夫」とは限らない点に注意しましょう。
対象と報告時期は特定行政庁で異なる
国土交通省の資料では、防火設備の報告はおおむね半年から1年の間で、特定行政庁が定める時期に行うとされています。対象の範囲や報告の月、提出先は、建物がある特定行政庁によって異なります。
たとえば東京都では、防火設備の報告時期は毎年4月から翌年1月とされています。一方、千葉県船橋市では、建物の用途によって提出する月が分かれています。同じ用途・規模の建物でも、所在地によって扱いが変わります。
時期を確かめる方法
- 行政や受付機関から届いた案内を確認する
- 前回の報告書の控えや、報告済証の日付を確認する
- 建物がある特定行政庁の建築の窓口やホームページで確認する
案内が届かない、担当を引き継いだとき
案内は、建物の所有者あてに届くことがあります。管理を任されている場合は、所有者やオーナーに案内が届いていないかを確認しましょう。管理会社が変わった建物では、前の管理会社が手続きをしていたこともあります。過去の報告の状況を聞き、書類を引き継いでおくと安心です。
対象かどうかの考え方
対象になるかどうかの考え方は、東京都のQ&Aでは、定期調査の対象となる建物や、病院・診療所、高齢者などの就寝に使う用途で一定の規模以上の建物に設けられた、随時閉鎖・作動する防火設備とされています。自分の建物がどうかは、窓口で確認するのが確実です。
依頼から報告までの流れ
ここでは、東京都が示している報告の流れを例に、全体の進み方を整理します。細かな手順や提出部数は特定行政庁によって異なります。

| 段階 | 誰が | 内容 |
|---|---|---|
| ① 依頼 | 所有者・管理者 | 報告時期に合わせて、検査の資格者に検査を依頼する |
| ② 検査 | 検査者 | 現地で防火設備を検査する |
| ③ 報告書の作成 | 検査者 | 検査の結果を報告書にまとめ、所有者・管理者に報告する |
| ④ 提出 | 所有者・管理者(検査者への委任も可) | 報告書を受付機関に提出する |
| ⑤ 審査 | 特定行政庁 | 報告書を審査し、内容によっては改善などを指導する |
| ⑥ 返却 | 受付機関 | 受付印のある報告書と報告済証などが届く |
| ⑦ 保存 | 所有者・管理者 | 報告書を保存し、報告済証を掲示する |
依頼は時期に余裕をもって
報告の期間の終わりが近づくと、検査の依頼が重なりやすくなります。案内が届いたら、または前回の報告から次の報告時期が近づいたら、早めに検査者へ相談しましょう。依頼のときは、建物の所在地と用途、防火設備のおおよその台数、前回の報告書の有無、検査できる曜日や時間帯を伝えると、日程を組みやすくなります。
検査の日から報告までの期間にも注意
東京都のQ&Aでは、検査日から1か月以内に報告することが求められています。検査を早く済ませすぎても、報告が遅れては意味がありません。依頼のときに、検査日と提出日の見通しを検査者と共有しておきましょう。
検査では実際に閉鎖させることがある
防火設備の検査の項目は国土交通省の告示で定められており、防火シャッターでは閉鎖の時間を測る項目などがあります。検査の当日は、シャッターを実際に降ろして確認することがあります。
管理担当者が準備すること
検査をスムーズに進めるには、書類と現場の準備が欠かせません。次の項目を目安にしてください。

前回の報告書と指摘の記録
前回の報告書の控えがあると、対象の防火設備や前回の指摘が分かり、検査の準備が進めやすくなります。前回の指摘を修理した記録もあわせて用意しましょう。
図面と防火設備の一覧
報告には報告書と検査結果表のほか、特定行政庁が定める書類を添えることになっています。東京都のQ&Aでは、防火設備の設置の目的などを把握するため、原則としてすべての階の平面図を添付するよう求めています。防火設備の位置が分かる図面と、台数・設置場所の一覧があると確認が早く進みます。図面が見つからない場合は、その旨を依頼のときに伝えてください。
立会いと入館の手配
テナントの区画や機械室など、鍵が必要な場所にある防火設備もあります。立会いの担当者、入館の手続き、鍵の手配を事前に決めておきましょう。テナントの区画に入る場合は、日時をテナントにも伝えておく必要があります。
通行止めの周知
閉鎖を確認する間は、その場所を通れなくなることがあります。営業時間や搬入の予定と重ならない日時を選び、テナントや従業員に事前に知らせておきましょう。閉まる位置に置かれた荷物も、検査の前に片付けておきます。
指摘があった場合の是正
検査で不具合が見つかると、報告書に「要是正」などの判定が記載されます。その場合は、修理や交換などの是正を検討します。
要是正と既存不適格
報告書には、現在の基準に合わない状態について「既存不適格」と記載されることがあります。建てた当時の基準には合っていた状態を指すもので、要是正とは扱いが異なります。ただし、東京都のQ&Aでは、危害防止装置の義務化の後に増築した建物で装置がない場合は既存不適格とならず、要是正になるとされています。判定の意味は検査者に確認しましょう。
改善の報告
東京都では、指摘があった場合に改善計画書や改善完了報告書で改善の状況を報告する様式が用意されています。船橋市でも、改善が必要な場合は改善計画書を、完了したときは改善完了報告書を提出するとされています。様式や提出の時期は特定行政庁によって異なるため、窓口で確認してください。
是正工事の進め方
是正は、指摘の内容を確かめることから始まります。報告書の検査結果表を見ながら、どの場所の、どの防火設備に、どのような指摘があったかを整理しましょう。そのうえで現地を確認し、修理の内容と工事の日程を決めます。工事の後は、改善の報告に必要な書類を、特定行政庁の様式に合わせてそろえます。工事の内容と完了した日を記録しておくと、改善の報告や次の検査のときに役立ちます。
修理で直すか、交換するかは、不具合の箇所や製品の状態によって変わります。
【やってはいけないこと】
- 報告時期の直前まで依頼を先送りにする
- 要是正の指摘を、次の報告まで様子見で済ませる
- 検査の前に、防火シャッターを自分で閉鎖させて確かめる
- 閉まる位置の荷物を、検査の日だけ動かして元に戻す
費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること
定期検査や是正工事は、建物や防火設備の条件によって内容が変わるため、ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| 防火設備の数 | 防火シャッター・防火戸などの台数と種類 |
| 建物の規模 | 階数、設置場所の分散、高さ |
| 作業の条件 | 検査できる曜日・時間帯、立会い、入館の手続き |
| 書類の状況 | 前回の報告書や図面の有無 |
| 是正の内容 | 調整、部品交換、装置や本体の交換 |
※正確な費用は、建物の状況を伺い、現地を確認したうえでお見積もりします。

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換、新設・交換のご相談を承ります。点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。指摘を受けた後の是正工事にも対応し、防火シャッターの工事には5年間の施工保証が付きます。
次の報告に向けて日頃から整えておくこと
定期報告は毎回同じ時期にやってきます。日頃から次の点を整えておくと、手続きが楽になります。
- 報告書の控え、報告済証、修理の記録を一か所にまとめて保管する
- 報告時期を年間の予定に入れ、早めに依頼する
- 閉まる位置に物を置かないよう、テナントや従業員に伝える
- 担当を引き継ぐときは、書類の場所と過去の指摘を渡す
まとめ
防火設備の定期検査・報告は、建築基準法第12条第3項に基づき、所有者・管理者が資格者に検査させ、特定行政庁に報告する制度です。対象や報告時期、提出の方法は特定行政庁によって異なります。
まずは案内や前回の報告書で時期を確かめ、早めに検査を依頼しましょう。前回の報告書、図面、立会いと通行止めの準備を整えておくと、検査が進めやすくなります。指摘があった場合は、是正と改善の報告まで進めることが大切です。
防火シャッターの検査や是正工事は「防火シャッター」、複数の建物の管理や工事の日程調整は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 定期報告制度 | 建築基準法第12条に基づき、対象の建物や設備を検査・調査し、特定行政庁へ報告する制度。 |
| 防火設備 | 防火シャッターや防火戸など、火災の広がりを抑えるための設備。 |
| 防火設備検査員 | 防火設備の定期検査を行える資格者の一つ。 |
| 特定行政庁 | 建築に関する行政を担う自治体。報告の対象や時期を定め、報告を受ける。 |
| 受付機関 | 特定行政庁に代わって報告書の受付を行う機関。 |
| 報告済証 | 報告を済ませたことを示す書類。 |
| 要是正 | 検査で、直す必要があると判定されたこと。 |
| 既存不適格 | 建てた当時は基準に合っていたが、その後の基準の改正で現在の基準に合わなくなった状態。 |
| 改善計画書 | 指摘された内容をいつ、どう直すかを特定行政庁に報告する書類。 |
| 改善完了報告書 | 指摘された内容を直したことを特定行政庁に報告する書類。 |